目的別 動画編集・エンコードソフトェアまとめ 2017年版

2017年3月28日

動画編集は目的によって最適な方法が異なり、正解というものはありません。本記事では本格的な映像制作、一般的な動画編集、自動化など用途別に定番と言える動画編集ソフトウェアやツールを紹介します。

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動画編集ソフトウェアの定番

Windowsで利用できる動画編集ソフトウェアは多数あります。かつては多くの選択肢がありましたが、近年では定番と呼べるものががだいぶ絞れてきたように思います。

ここではそんな定番たちを用途別に紹介しつつ、後半は個人的に特におすすめしたい、CUIによる動画編集とエンコードツールを紹介していきます。

本格的な映像制作・業務用途

やはり筆頭はAdobe After Effects CCとAdobe Premiere Pro CCでしょう。VegasやEDIUSなど他社製品と比較されることもありますが、やはりAdobe製品のマーケットシェアは圧倒的です。
映像制作会社でAdobe系のソフトウェアがないと、外部とのファイル受け渡しに困ってしまいます。

王道:Adobe Premiere Pro CC

Adobe Premiere Pro CC

Adobe CC(Creative Cloud)のライセンスを購入すると、期間内は好きなだけAdobe製品の最新版をダウンロードして使用できます。太っ腹なことに2台分のライセンスになっています。

Premiere Proは主にカット編集、トランジションなどのエフェクト適用を目的としたソフトウェアで、編集からエンコードまでのほぼ全行程をこれ一本で行えます。特にカット編集はさすがに秀逸です。

After Effectsはその前工程となる映像制作、つまりPremiere Proに渡すソース動画を制作する用途というイメージで、動画版Photoshopとも言われています。

Adobe製品は大量に存在する高度なプラグインやエフェクトが魅力です。映像制作において、Adobe CCでできないことというのはちょっと思い浮かびません。

廉価版:Premiere Elements

そこまで多機能でなくとも構わないので価格を抑えたいということであれば、Elementsシリーズも選択できます。Premiere Proはプロフェッショナル向け、Elementsはコンシューマ向けという位置付けです。

エンコード時に流行りのコーデックが使えない!

具体的にはx264やNVEncが使えません。AviUtlなどからの乗り換え組にとっては衝撃の事実ですが、H.264に関してはメーカー製品が組み込まれていますので、ライセンス問題とか色々あるのでしょう。

この問題、実は対応可能です。別記事にまとめましたので参照してください。

GUIによる動画編集・エンコード用途

用途はエンコードやリサイズ、動画形式の変換が多いでしょう。併せてカット編集、リサイズ、インターレース解除、字幕入れなどの一般的な動画編集もよく行われます。配信者にもよく使われています。

この層はユーザー数が多く、Adobe製品の低価格版のような製品が多く存在します。具体的にはPowerDirectorとかVideoStudioとか、そういった製品です。

私の周囲では、企業で「社の決まりでフリーソフトは使えないが、Adobe CCは高額すぎる」という制限のあるところが、よく上記のような製品を導入していました。でも正直、最近見なくなりましたね。

万人向け:TMPGEnc Video Mastering Works

TMPGEnc Video Mastering Works

TMPGEnc Video Mastering Works 6になってNVEnc(HEVC)のハードウェアエンコードに対応し、インターレース解除に新機能も登場し、順調にパワーアップを続けています。

カット編集機能は賛否両論ですが、サムネイル部分をマウスのボタンでザーッと流すあたりの操作性は気に入っています。個人的にCMカット最強と考えているTMPGEnc MPEG Smart Renderと同じように使えます。

※後にAviSynth+の記事で登場しますが、TMPGEnc MPEG Smart Renderはまた特別な存在です。

難しいこと抜きで今すぐGUIで使いこなしたい!という方や、AviUtlを学ぶ気になれない!という方に適しているでしょう。初心者にとって、AviUtlより敷居が低いことは確かです。

無料で高機能:AviUtl

AviUtl

無料で使用できるフリーソフトウェアではAviUtlの人気が頭一つ抜けています。

単なるエンコードや動画形式変換ならHandBrakeやSuperなどのお手軽ツールがありますが、AviUtlは勉強と努力次第で高度な動画編集を可能にしたり、市販ソフトウェアで読み込めない動画ファイルを読み込んだりできる柔軟性があります。

国内の利用者が非常に多く、ネットの情報も豊富です。x264でエンコードする出力プラグインの登場が、普及に拍車をかけたように思います。

拡張編集プラグインによりタイムラインを使った編集もサポートし、無料でありながらこれ一本で動画に関する大抵のことはできてしまう、優秀なフリーソフトウェアです。

ただしうまく活用するには、それなりの知識や経験が必要です。プラグインは古いものを含めると把握しきれないほど多く、入門者は似た機能を持つプラグインの取捨選択に戸惑うことでしょう。

急成長は止まった感がありますので、今から勉強する人はある意味入りやすいかもしれません。

AviUtlについてはこのサイト内にもまとめ記事がありますので参照してください。

高速化・効率化・自動化用途

動画編集やエンコードは、突き詰めればフィルタやプラグインの機能理解、知識と経験、そして独特のセンスが重要になってきます。

効率化を追求するようになると、だんだんGUIが邪魔になってきます。どうしても似たような作業が多くなり、いちいちGUIで同じ操作を繰り返すより、定型作業はスクリプト化して使いまわす方が理に適っています。

以下は独自のGUIを持たず、コマンドラインやスクリプトファイルによって動画編集を行うツールです。

万能コマンド:FFmpeg

FFmpegは、メディアファイルの入力~編集~出力までを1行のコマンド(ワンライナー)で実行可能なツールです。用途次第ではこれだけでほとんど何でもできてしまいます。

以下は、FFmpegによる簡単なパターンでのエンコード例です。

ffmpeg input.mp4 -s 1280x720 -sws_flags spline -vcodec nvenc_hevc -b:v 2M -vf bwdif=0:-1:1 output.mp4

input.mp4を読み込み、Splineで1280x720pxにリサイズし、コーデックをNVEnc(HEVC)とし、平均ビットレートを2Mbpsとし、インターレースを解除して、output.mp4にエンコード出力する、という内容です。

ご覧の通り無敵か!と思えるほどの簡便性ですが、後述するAviSynthに比べると周辺ツールやフィルタ選択の自由度、設定の多彩さで劣ります。しかしエンコードまで単体で行える点では勝っています。

万能かつコマンド1つという手軽さからFFmpegを外部利用するソフトウェアも多く、例えば携帯動画変換君などはこのFFmpegのラッパーです。DVDStylerもFFmpegを使用しています。

今はどうか知りませんが、Youtubeも内部のエンコードをFFmpegで行っていたと記憶しています。動画を扱うサーバでは標準的に利用されており、OSの垣根を超えて活躍しています。

おすすめ:AviSynth

即エンコードを前提とした動画編集で、高画質化と高効率化を両立・追求するならAviSynthでしょう。

AviSynthはVirtualDubなどと共に古くから人気があり、実はAviUtl用プラグインはAviSynth用フィルタの移植、ということも少なくありません(たまに逆もあります)。過去の記事で書いたNNEDI3もそうです。

これをおすすめとしている理由は、こういった優れたフィルタの存在だけでなく、その組み合わせやパラメータ指定、順序の組み立てにより、納得いくまで高画質化と高速化、高効率化を追求できるためです。

以下は本家サイトの説明をGoogle先生に翻訳してもらったものです。

AviSynthは、ビデオポストプロダクション用の強力なツールです。動画の編集や処理方法を提供します。
AviSynthはフレームサーバーとして機能し、一時ファイルを必要とせずに即座に編集できます。
AviSynth自体はグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を提供しませんが、高度な非線形編集を可能にするスクリプトシステムに依存しています。これは、最初は面倒で直感的ではないように見えるかもしれませんが、それは非常に強力で、正確で一貫した再現性のある方法でプロジェクトを管理する非常に良い方法です。テキストベースのスクリプトは人間が読めるので、プロジェクトは本質的に自己文書化しています。
スクリプト言語はシンプルですがパワフルであり、基本操作から複雑なフィルタを作成して、有益なユニークなエフェクトの洗練されたパレットを作成することができます。

無意味に難解ですが、強力で、高速で、GUIがない代わりに効率的な処理ができるよ!ということですね。

ちなみに独自のGUIは持ちませんが、有志によるAvsPmodという有名なGUI(というかプレビュー付きのエディタ)が存在します。これは後の記事で紹介します。

具体的には、こういう使い方になります。

  • 拡張子.avsというテキストファイルに適用したい処理を順に記述
  • .avsファイルをコマンドライン版のx264やx265、QSVEncCやNVEncC、あるいはAviUtlなどに渡してエンコード

他のコマンドやツールに渡す理由は、AviSynthは基本的に動画にフィルタをかけるだけのツールであり、単体でエンコードする機能を持たないためです。動画編集の最終工程は出力ですが、AviSynthにはこの機能が無いため何らかのエンコードツールに処理を渡す必要があります。

※とは言え、AviUtlもAVI出力以外は外部ツールに頼っています。GUIでパラメータを指定して処理を投げているわけですが、同じことをコマンドラインやバッチファイルで行うわけです。

渡されたコマンド側からは、拡張子.avsという「フィルタ適用済みの動画ファイル」のように見えます。

以下は単純なAviSnthスクリプトの例です。

avsource = "D:¥My Videos¥Video_001.mpg"

LWLibavVideoSource(avsource)
AudioDub(last, LWLibavAudioSource(avsource, av_sync=true))

AssumeTFF()
TDeint(edeint=nnedi3)
Spline36Resize(1280, 720)

return last

読み込むソースを指定して、音声と同期しつつ読み込んで、フィールドオーダーをトップフィールドファーストに指定して、インターレースを解除して、Splineで1280x720pxにリサイズしています。

AviSynthの魅力的なところは、フィルタリングにかかる時間を惜しまなければ極限まで高画質化できるという点です。上の例ではインターレース解除やリサイズの処理が様々に工夫できます。

他にもロゴ消し、フレーム補完によるぬるぬる60fps化、逆テレシネ化(映画やアニメ録画番組の30→24fps化)、色調補正、カット編集、黒ベタ、回転、再生速度変更、ぼかし、シャープ、字幕入れなど、AviUtlで可能なことは大体何でもできます。

スクリプトは単なるテキストファイルであり、上の例ではソースさえ書き換えれば同じ設定で何度でも再利用することができます。ソース部分を動的に生成するバッチファイルを書けば、処理を自動化できます。

先人による優れたスクリプトを単純なコピペで拝借することができる点も素敵です。

Avisynthの詳細については、別の記事で説明していますので参照してください。複数動画のエンコードを自動化するためのバッチファイルも公開しています。

次回以降はAviSynthから派生し高速化を図ったAviSynth+を紹介していきます。

2017年3月28日